くりたのブログ

佐竹本。


秋の美術めぐり、引き続き、です。
先日訪れたのは、東山七条の京都国立博物館。
目指したのは、これ。

「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展。
こんな機会は滅多にないから、見といたほうがええで!
と各方面から絶賛のお声があり、
会期も終了間近の先日、急ぎ馳せ参じました。
歌人、藤原公任の「三十六人撰」に選ばれた、
飛鳥〜平安にかけての優れた歌詠み人とされる、三十六歌仙。
柿本人麻呂、小野小町 在原業平、等々、
今現代でも名は耳にする、歌人たち、
鎌倉時代以降、
この三十六歌仙を思い描いた肖像をモチーフにした「歌仙絵」が
数多く描かれるようになったんだそうです。
そして、中でもこの「佐竹本三十六歌仙絵」は、
旧秋田藩主佐竹公爵家にずっと伝わっていたもので、
「佐竹本」と皆が呼ぶところであったそう。
歌仙絵の最高峰!とも称されるものなんです。
それが大正に入り、
家の経済的事情により、これが売りに出されることとなり、
所有者は一旦他に移ったのち、
第一次大戦後に更にそれが手放されることに至り、
その際、あまりにも高価で買い手がつかず、
時の経済界の重鎮で茶人でもある益田孝の案により、
この三十六歌仙の絵巻を切断して、共同購入をしよう、
そして、その断片のいずれを所有するかは、
くじ引きで決める、ということ相成ったそう。になったんだそうです。
糊付けを剥がされ分割された歌仙絵は、
各所有者の手により趣向を凝らした表具が施されるなどし、
掛け軸に仕立てられて、今の形となっています。
今年2019年は、佐竹本が分割されてから、
ちょうど100年を迎える年で、
この機会に、離れ離れになっていた絵(→そのうち今回は31件分)を一堂に集めよう、
ということで開催されたのが、本特別展、なのです。
各断簡、持ち主が色々な手に渡った絵もあれば、
100年間ずっと一所に家宝として大切に伝えられているもの
(例えば、野村美術館、住友コレクションなど)もあり、
この100年の間に、それぞれが色んな運命を経て、
今に至っているという、この佐竹本。
展示会場入り口壁には、
「もう、会えないと思っていた」「あの日からやっと会える」
との言葉が印象的に掲げられていて、
本当に100年の年を経た今の、奇跡の再会なのだな、、、ということ、
改めて感じさせられました。
展示は6つのセクションにわかれていて、
主役の佐竹本は第3章の2階のフロア全面で、
それ以外にも、歌仙絵が生まれるにあたり、
その背景でもある和歌、歌仙にかかわる美術品、
王朝文化を感じられるその時代の名品の数々が展示されていたり、
佐竹家で絵巻が保存されていた漆の箱、
それから、くじの時に使われた竹筒(今は花入れに仕立直されている)を
実際に見ることができたり、
分断される前に製作された、絵巻物の模造品があったり、と、
佐竹本が誕生した背景、
それが佐竹家に伝わりどのように流転の運命を辿ることになったのか、
ということ、総括的に理解できるようになっています。
くじ引きの際にも、
やはり男性よりも女性の歌仙の絵の方が人気があったとか!で、
流石に、チケットの図柄にもなっている、
「小大君」などは、十二単の姿が美しくて、目を奪われますが、
いずれの絵も、人物描写が細やかで、
表情もそれぞれに違い、特徴がああって、それぞれに惹き込まれました。
特に、合わせて添えられている歌の内容と照らし合わせると、
興味深さは倍増!
きっと、百人一首がお好きな方などは、
とりわけ楽しめるんではないかな?と思います。
「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展、
会期はあと1週間とちょっと、24日(日)までです。
終盤とあって、平日の今日でも相当に混んでいるとのお話、
耳にも入ってきておりますが、
今後そうそうない機会なので、一見の価値あり!かと思います。
皆様、是非にー!
(でも週末などはかなり混み合うこと必至、かと思われますので、
お時間調整しながら、出向かれて下さいませねー)
入り口からちょっと奥に入ったところに、
こんな撮影スポットが用意されています。
これが「小大君」なのですが、
一番華やかで、
皆が思うところの平安の姫君そのまんまの、
お姿の、肖像画。
中に入って記念撮影できる仕組みに
なっていました。
訪れたのは2日前で、
館内の木々も、ぼちぼち色づき始め、
という状況でした。
快晴で、申し分ない秋空だったのですが、
空見上げると、いたるところにうろこ雲!
景色の美しさに、
写真に何枚も納めましたけれど、
お天気が崩れる前の現象、とのこと。
確かに、
昨日は時折雨模様でしたものねー!

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